30%問題

人気ゲームのフォートナイトを擁するEpic Games社が、App StoreでのAppleの取り分に不服があるとして、Appleを通さないでアプリ内課金を行うという強硬手段に打って出たこと、それによりApp Storeから排除されてしまったことは大いに話題になりました。

最終的にEpicに勝ち目があるのかはちょっと怪しいですが、ユーザーも巻き込んで議論を起こすことには成功しており、Appleが売り上げの30%も持っていくのは不当に高すぎるという意見をたくさん見かけました。

Epicが運営するストアでは12%ですから、それと比較すると高いのは確かです。

そもそもAppleの取り分が不当に高いのだろうかという点から整理する必要があります。
IGNがまとめた各プラットフォームでの手数料を見てみましょう。


https://www.ign.com/articles/2019/10/07/report-steams-30-cut-is-actually-the-industry-standard

もしApp Storeが不当に高いと言うのなら、他のストアはもっと安くなっているはずですが、実際にはそうではありません。
もし市場を独占して、優位な立場から値上げを強行しているのなら問題ですが、昔からAppleの取り分は30%ですからね。Epicはそれを理解して参入しているはずです。

もうひとつ問題とされているのは、Androidと違ってiPhoneではApp Store以外にストアがないという点です。
AndroidならGoogle Play Storeの他からアプリをインストールする手段が用意されているのに、iPhoneにはそれが無いことが問題だと主張する人も多く見かけました。

この点については、ハードウェアの開発とプラットフォームの成功が結びついていることを無視してはいけないと思います。
プレイステーションや任天堂Switchも同じですが、魅力的なハードウェアを作ることでプラットフォームとして成功を収めているわけです。ハードがこけて、ソフトが集まらなければプラットフォームとしては敗北です。
ハードウェア開発が分離して存在するAndroidプラットフォームとは根本的に異なります。

ハードウェアに巨額の開発費と、人気のソフトを集めてようやくシェアを確保できる。プレイステーションやSwitchに、ストア外からのゲームを遊べるようにすべきだと主張するのはちょっと無理筋ですよね。彼らは自分たちが開発したプラットフォームを守る権利がある。iPhoneはどう?
プラットフォームとしてのハードウェアを持たないEpicが、他社の成功したプラットフォームに乗っかって商売するためには、決められた手数料を支払うのも仕方のないことでしょう。
30%も持っていかれたら商売が成り立たないなら参入しない選択肢もあるわけだし。

他社のプラットフォームで特別扱いをされたい場合には、通常であれば独占タイトルとして契約を結ぶことで一定の優遇措置を取り付けることができるわけです。フォートナイトでそれをやっていれば交渉の余地はあったんじゃないかと。

高いから値段を下げてくれと交渉するのはEpicの正当な権利。
それを却下するのもAppleの正当な権利。

じゃぁAppleには金を払わないけど、iPhoneでゲームを売る権利がEpicにあるかというと、厳しいんじゃないかな。

iTunesカードは日本全国どこでも買えるようになっているけど、それを置かせてもらう営業コストとか、コンビニに払う販売手数料とか、他にも見えないコストがいろいろあるはずです。
どこまで見えていて、どこで線を引くかによって、高すぎるか妥当かは変わってくると思います。

私は30%が安いとは思わないけど、高いとする根拠は持っていません。
それくらいのスタンス。

最後に、なんでもかんでも規制して当然だと思っているわけでもなくて、自分で開発したアプリくらいは制限なく使えるようになってもいいと思ってることは付け加えておきます。

 

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1993年生まれのラッパーKID FRESINO

KID FRESINO – Coincidence

はたしてこれは合法的に撮影されているんだろうかと心配になるミュージックビデオですが、映像は見事だし、音も変拍子にスティールパンにポリリズムと飽きさせません。

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