自宅で看病していた父が亡くなりました。
最期は家族に囲まれ、手を握られながら、眠るように。
徐々に呼吸が止まっていくその瞬間まで、ずっと手を握って、ゆっくりと火が消えるのを感じながら、その終わりをかみしめていました。
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これまでに痛み止めの量が増え、どんどんと痩せ衰えていく姿を見ていると、余命の短さを一日一日と嫌でも実感させられてきました。
夜間でも気が抜けない状態で、異変にすぐ気付けるようにベッド横の床で寝る毎日。
いつか私の寝ている真横で、気付かないうちに呼吸が止まってしまうんじゃないか。それが一番怖くて、何度も夢に見ては飛び起きるような夜を過ごしてきましたが、そんなことにはならず、最期までしっかりと見送ってあげられたのは本当に幸運でした。
苦しみと痛みに支配されたままではなく、こんなに穏やかな最期を迎えることができるだなんて思ってなかった。
きっと辛い最期になると思っていたので、苦痛にゆがんでいない穏やかな顔で見送れたのは私にとって大きな救いになりました。
悲しみは大きくなくて、私の心を占めているのはたぶん喪失感。
物語が終わったあとに、どこにも行けず呆然と立ち尽くしてしまうような。
とても仲の良い親子でしたから、失った後は悲しみに押しつぶされてしまうんじゃないかと思っていたのに、そうならなかった。この闘病生活を送る中で十分に向き合えたからだと思います。
「死なないで」でも「頑張れ」でもなく、「おつかれさま ありがとう」で終わった。
やりきったとは思うけれど、後悔が無いなんてことは言えません。
それはこの先何年もかかえながら消化していくものだと思う。
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食べたいものがあっても、飲みたいものがあっても、それを叶えてあげることができない状態だったのがとても辛くて、なにもしてあげられないことに押しつぶされそうでした。
食事を制限されてしまうと、辛いことだらけな中で、喜ばせてあげられるものが途端に無くなってしまうので無力感に苛まれます。
医療が発達して、治せない病であっても生かすことができるようになってきました。
終末期医療というのは患者のQOLと病状とをいかにコントロールするかに焦点があたります。
先が見えない中でも栄養を投与し、酸素を吸入し、辛い日々を長引かせるのか、それをやめるのか。
どこかで線を引かなきゃいけないときはみなさんにも訪れるでしょう。
「できる」ことを「しない」という選択はとても重たい。
その選択を誰がするのか。
「しない」ことは誰が背負うのか。
病院では医師や看護師が背負ってくれる責任が、自宅では誰かにのしかかってきます。
考えておいてください。いざというときにあなたはどうありたいのかを。家族はどうあってほしいのかを。傍観者ではいられないときは来ます。
わかりやすい答えは用意されてないけど、考えておくことは大切です。
いつそうした選択肢が突きつけられるかわからないから。
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支えてくださった医師、看護師、ヘルパーのみなさん。
友人、ご近所のみなさん。
支援物資を送ってくださったみなさん。
読者のみなさん。
感謝をしています。ありがとうございました。
皆さんの支えで、家族に囲まれながら自宅でしあわせな形で見送ることが叶いました。
いまは多くの人が病院で最期を迎えることが多いと聞きます。
私もこの社会情勢でなければ、連れて帰るという選択はできなかったかもしれません。
連れて帰ったら帰ったで、消毒用アルコールが手に入らないとか、滅菌ガーゼがどこにもないとか、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターが市場から完全に消え去っているとか、生命に直結するクリティカルな問題がいろいろと降りかかってきてそれはそれは大変でしたが、ひとつひとつクリアしてなんとか走り切れました。
「連れて帰るのなんて無理じゃない?」なんて思っていたけど、できた。
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一緒に過ごせてよかった。
これがわたしの思いです。父も同じ思いでいてくれたなら嬉しいのだけど。
読者の一人として、御霊の安らかなることをお祈りいたします
管理人様もどうかご自愛ください
読者の一人です。
私も2月に父を亡くしました。
おつかれさま ありがとう 全く同じでした。
こんな気候です。
お互い自分の体調にも気をつけて、心配させないようにしましょうね。
きっと想いは伝わっていると思います。
きっとお父様も同じ想いだと思います。
情報豊かなReliphoneさんのブログが好きで、数年来読ませてもらっています。
ご冥福をお祈りします。きっとお父様も同じ気持ちでいらっしゃると思います。
謹んでお悔やみを申し上げます
故人を覚えている 想い出す そうした行為は最高の供養だと思います
主様 3回忌を済ませる頃には気が緩むのか疲れがどっと出て来ます
どうぞお体を御自愛して下さい
乱文にて失礼します
コメントするのは初めてですがいつも読ませてもらっています。
お父様のご冥福をお祈りします。
つい先月に祖母を亡くしました。
面会もできるとのことだったのでホスピスで最後を迎えましたが同じようにとても穏やかに最後まで過ごすことができました。
文章からもReliphoneさんの想いは伝わりますし、お父様にも気持ちはきっと伝わっていると思います。
人生の最期をご家族と過ごされたことはお父様にとっても幸福な時間だったと思います。
本当にお疲れさまでした。お父様のご冥福をお祈りします。
ご遺影に目を見やれば そこにあるのは在りし日のお姿
今はもの言わぬ故人様ではいらっしゃいますが
その穏やかな眼差しは 皆さまに 感謝と 別れの言葉を告げています
いまはただ どうぞ良きところにたどり着けますようにと祈りを込めて
合掌
ご冥福をお祈りします。
お父様も同じ気持ちだったと思います。
この先、ふと疲れが来ることもあるかと思います。どうかご自愛ください。
ご冥福をお祈りします