iPhoneの充電ログを日常的に計測しているのですが、そのデータを見ながら機材の分析をしていこうと思います。
たぶんライトユーザーは読んでもつまらないと思うので、続くかどうかはわかりませんけど、今後の解説記事の下敷きにはなるでしょう。
数回は書く予定なので、どうかお付き合いください。
使用機材
端末 : iPhone 11, iOS 13.2
充電器 : Anker PowerPort Speed 5(充電には非QCポートを使用)
ケーブル : Apple純正Lightningケーブル(1m)
計測器 : AVHzY CT-2
※
今回のデータは電源が落ちた状態から満充電までを計測したものです。
ここでの満充電とはiPhoneのバッテリー残量表示100%とは異なるもので、明確に区別をしています。
これについては以下の記事を参照してください。
iPhoneのバッテリーに関する基礎知識 その2 100%と満充電の違い | reliphone
充電グラフを分析する
赤い線が電流、青い線が電圧、緑の線が流れた電力の割合です。
まず緑の線から分析してみましょう。
左下の0%から右上の100%までの推移を示しています。
30分で全体の32%、60分で62%程度の電力が流れており、急速充電器では1分あたり1%の充電ができることがわかります。(グラフの横線は20%単位)
80%付近まではほぼ真っ直ぐに線が伸びていますが、そこからは充電速度が遅くなり、100%に近づくほど遅くなっていきます。なだらかにカーブしていきますね。
ここでのパーセンテージはiPhoneが表示するパーセンテージとは同一ではありませんが、速度を分析する際の目安としてはこちらのほうが正確な値といえるでしょう。(これについては別途補足記事を書きます)
次に赤い線を分析します。
充電開始して7分程度は2.34Aと、上限の2.4A近くの値が出ていますが、そこからは階段状に下がっていきます。この階段状に下がるのはiPhone 7での計測では見なかった傾向なので、新しい電流制御方法に変わったことが推察されます。
このように段階的に電流を減らしていくのは、このケーブルが急速充電に十分な性能を満たしていないことを示します。
80%手前で大きく電流が下降(2分半ほど)している箇所がありますが、これはまだ原因が不明です。
iOS 13の新機能『最適化されたバッテリー充電』に関連するものかとも思ったのですが、端末は電源が落ちたまま充電をしていますので、そうしたOSの制御と考えるのには無理があります。
他の充電データではこの挙動が現れていないので、なぜ起きたのかは今後の課題となります。
最後に青い線です。
赤い線と連動して対称的な動きを見せています。
電流が減れば、電圧が上がるというのが基本的なこの充電器の挙動で、これは充電器によって変わります。
電圧は平均して5.25Vとたいへん優秀で、文句無しの素晴らしさです。
今回の計測データ
電流積算 : 3,435.0mAh
電力積算 : 18,036.3mWh
平均電圧 : 5.2508V
充電時間 : 2時間46分
おわりに
Anker PowerPort Speed 5はiPhoneを急速充電するのに非常に良い充電器です。
しかしApple純正Lightningケーブル(1m)では最高速で充電するための性能が不足していることがわかりました。(iPhone 7などの2.4Aまで要求しない端末では純正ケーブルで性能不足はありません)
急速充電を行うためには良い充電器だけなく、良いケーブルを使うことも重要なポイントです。
なお、PowerPort Speed 5は全5ポートあるうちの2ポートがQuick Charge対応ですが、そちらは電圧が5Vを下回ります。その2ポートはQuick Charge対応製品で使いましょう。