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アプリレビューサイトの終焉の日は近い

 

今朝突然「10月よりアプリとアプリ内課金をアフィリエイト対象から外す」というメールがAppleから届いた。

つまりはこれからアプリを紹介することに金銭的なメリットが発生しなくなるということだ。
前回の改訂ではアプリ内課金を対象から外すという決定があったが、反発が大きく、その後撤回されることとなった。7%から2.5%に料率を下げ現在に至っている。
しかしそれが今度はゼロになる。

かつては今よりももっと効率がよく稼げていた時代があり、パズドラとマックスむらい全盛期のAppBankはアプリ紹介の収入だけで、ものすごい金額をたたき出していたそうだが、そんな時代はとっくに終わった。
有料アプリ市場が停滞し、多くのアプリが無料+アプリ内課金(サブスクリプション)へと移行している中で、アプリを紹介してその手数料をもらうというモデルには未来はないだろうとは思っていたが、今回の変更はその決定的な転機になる。

これはゲームキャストのように多くのゲームを紹介してきたサイトにとっては回復不可能な痛手になってしまうほどのものだ。あれだけしっかり書ける人なら商業媒体でも道があるだろうから、そっちの方向で活路があることを祈りたい。

広告を主体として運営しているサイトでは、これまでと変わらず更新を続けるところもあるだろう。
しかし、多くのセール紹介サイトが減るのは確実で、アプリ開発者側にとっても値下げをしたところで宣伝効果は薄れてしまうのだから、日常的な値下げというのは大幅に減っていくはずだ。
上流が減れば下流も涸れる。先細りは目に見えている。

何かを書くというのは、自分の時間をそれに費やすということとイコールになる。
うちのサイトが朝にセール情報を更新していた頃は、疲れていても寝る前に調べるとか、5時に起きて調べるなんてことをやっていたけれど、そうやって何かを犠牲にして続けるには情熱が必要になる。
毎日同じことを続けている中で当初のままの情熱を保ち続けることは非常に困難なことなので、続けるための動機付けが自分の外側にも用意できないといずれ燃え尽きてしまう。そういう面で、サイトを続ける上で金銭的な収入があるというのは大きな助けになってきた。

それが断たれる。

この影響は大きい。これからのアプリ紹介サイトにはいくつかのパターンが想定される。

1.アフィリエイトのための記事を書く
2.記事広告主体で継続をする
3.規模を縮小して継続する

 

1.アフィリエイトのための記事を書く

『オススメするために書かれた記事』ではなく『お金を得るためにオススメする記事』が増えるということだ。
「アプリが1DLされるごとに数十円~数百円の報酬を支払う」というスマホアプリ向けの広告市場があるのだが、これはアプリ紹介サイトにはとても相性がいい。
ただ、相性が良すぎるので危うい。
その人が書いていることが、報酬のために書いているのか、オススメをしたいから書いているのかが見えなくなってしまうからだ。

iTunesのアフィリエイトと違って、開発者が宣伝のためにダウンロード報酬を別途支払うという図式なのだから、自分が純粋にオススメしたいこととは何らかの線引きをしないとフェアではないと感じている。
しかしそんなことお構いなしにやっている人たちも多く、『iPhone歴x年の上級者がオススメする神アプリ30選』というような記事は、そのほとんどがアフィリエイトのためにねじ曲げられてしまっており、紹介単価の高い無料ニュースアプリや無料マンガアプリ、名刺管理アプリ、ソシャゲなどで占められている。まぁ参考になることは書かれていない。
そういう記事を読む際にはアプリのダウンロードリンクがどのようなものになっているかを注意して見ておくといいだろう。そのリンクがitunes.com以外の、smart-cやadcropsといったドメインになっている場合はあまり鵜呑みにしないことだ。

この線引きは結構難しくて、たとえば以前AbemaTVをオススメしたときに、AbemaTVにはアプリダウンロードで報酬xxx円という成果報酬型の広告があるのも知っていた。
自分が本当にオススメしたいアプリならそれを利用するのは悪くないんじゃないかとは思うのだが、読み手には書き手の本来の意図なんて知りようがない状態でやってしまうと中身がブレてしまう危惧があり、採用しないことにした。

アプリ紹介サイトがオススメしたいものを紹介する際にこうした成果報酬型の広告を使うことは否定しないけど、これをきちんと整理した上でやらないと、『ステマ』と呼ばれるものにしかならないので気をつけたい。
またどのアプリに対して報酬が支払われるかや、その期間などは広告主の設定次第なので、それ以外のアプリやキャンペーン終了後などは収益を上げられない。常に稼ぐための記事を量産するのでなければ安定した収入にはならないだろう。
自分の好きなアプリについて自由に書きたいという人には向かないものだ。

セール情報の記事なんかにも、よく『おすすめアプリ』のような書き方で成果報酬型が混ぜ込まれているけど、「いやそれただの広告だろ?本当にオススメしたいの?」と言いたくなる。

 

2.記事広告主体で継続をする

かつてWorkflowの解説サイトが終了した理由として、広告収入だけではサーバー代も支払えないのが一因として語られていた。
ああいう解説サイトと広告の相性はあまりよくないので、広告の他に上手くマッチする手段がなかったのはとても残念なことだった。いまならnoteなどの支援型購読モデルで成立する可能性もあるだろうが、あれはあれで大変そうだ。

うちのサイトも目立つ位置に広告を配置していないので、サーバー代をまかなえるレベルにしかなっていない。アプリの紹介料がなくなる分を補填しようとすれば本文内に広告を配置するなんてことも考えないといけないかもしれない。(乗り気ではない)

広告が目障りと嫌われる一方で、ヨッピー氏に代表されるような、それ自体が読み物として面白い記事広告は歓迎されている。
しかし金をもらって記事を書くというのは、営業とのコネクションがない個人サイトにはハードルが高い。

かみあぷは記事広告を手がけているが、広告とはわかりにくいようにPRを非常に小さく記載しているし、PR記載のない記事広告らしきものも散見される。
他のサイトでもPRが明示されていない記事広告っぽいものを見かけることはあるが、実際はどうなのかというのが裏取りしにくい。
広告らしい広告が嫌われる以上、広告に見えない広告が増えていくのは自明なことだ。広告を殺そうとすればするほど、広告なのか広告じゃないのかがわかりにくくなる未来が待ち構えている。

記事広告だということを隠したり、アフィリエイトのための記事ということを隠してやるほうが成果が上がるので、まっとうにやるほうが報われないというのはなんとかしたいものだけど。

 

3.規模を縮小して継続する

基本的には不定期にセール記事を書く程度に収束するのではないかと思う。
スクエニだとかKORGだとかの大手が複数タイトルをまとめて値下げしたのを記事にする感じ。
それはそれで続けるモチベーションを保てるかは難しいけど。

いいアプリのセール自体が減る以上は、これまでと同じレベルの記事内容は保てまい。
まぁ毎日のように値段を上下させてセールを装うアプリは腐るほどあるので、しばらくはネタに困らないはずだけど。

かわりにKindleのセール情報が幅を利かせるようになってくるかも。
はっきり言って、毎週のように500円のアプリを買う人なんて本当にレアな存在だが、毎週のように500円のマンガならほいほい買う人はたくさんいる。
私はアプリが好きだからこんなサイトを始めたけど、稼ぐつもりならもっと別の層をターゲットにしただろう。

ガチャに何千、何万もつぎ込むゲーマーもたくさんいるようだが、うちのサイトにはあんまり関係のない層の話。

 

おわりに

本当に地殻変動レベルの大事件で、もう後戻りができないくらいの事態になっちゃってる。

アプリ紹介サイトは存亡の危機なわけですけど、これでまっとうなアプリ紹介サイトが減ると、1DLで報酬いくらという広告アフィリエイトのためにサイトをやっている人が相対的に目立つようになります。
アフィリエイトで埋め尽くされた『絶対入れるべき必携アプリ30選』みたいな記事が粗製濫造されていくけど気をつけましょうね。

つい先頃、AppStoreで検索をすると他のアプリが広告として表示されるようにもなりました。Search Adsってやつです。
こういう広告に資金を投入できる大手が強くなり、個人開発者は厳しい時代になります。個人開発者を支援するようなアプリ紹介サイトも難しくなるしね。

ちなみにiPhone系のニュース界隈は、いかに速く大量に他人のニュースを書き直して自分の記事にするかという方向にシフトしてしまったので、こっちはこっちでもうどうしようもないです。

今後注目すべきはAppBankで、年度末の決算報告書がどのように変わるかでこのインパクトのでかさを知ることができるでしょう。
AppBankはゲーム系以外に強いライターがいなくなってしまったのか、先頃のWWDCに関する記事は1つしか出てきませんでした。以前なら溢れんばかりの記事を投下していたはずですが、かなり苦しい感じが見えてきます。

ミートアイは企業から切り離されて個人サイトになって以降、書き直しニュースとアフィリエイトのための記事が主体になっていますから、それの比率をより高める方向ですかね。

かみあぷは記事広告メインで、あとは書き直しニュースとバズったネタを取り上げるサイトになっているので短期的には大丈夫でしょうが、技術系に強い人材が不在のままいつまで影響力を保てるかは不透明です。あと編集長をいつのまにか見かけなくなりました。最近は記事広告専門だったライターが他の記事も書いているので、何らかの変化はあったようで。

海外のサイトではTouchArcadeとかAppShopperなんかが大きなダメージを受けているようですが、それらの裏にいる人間はMacRumorsと同じなので、MacRumorsも少なからず影響があるだろうなと。

地殻変動のあとに何が残るか、何が生まれてくるかはこれからしっかり注視していきたいですね。

うちのサイトに関しては、セール情報主体でやってるとヤバいなって空気は事前にわかっていたので精神的なダメージはほとんどありません。足下が崩れ去ったけど、ジャンプしてるからセーフという感じで。
今後どうするかって方針は特にないんですけど、最近は更新をサボっているように見えつつも、ずっと充電に関することを調べています。毎日充電してはそのログを確認しているんですけど、なかなか面白いデータが集まってきました。

例えばこれはiPhone7の充電ログですけど、綺麗に電流が制御されているのがわかります。

▼充電時の電圧・電流グラフ

赤い線が電流で、青い線が電圧、緑の線が電力量比です。

始めに電流降下したのが27分付近。iPhoneの表示で50%の手前です。
次に降下したのが49分、これは70%の手前。
最後の降下は1時間10分、85%付近。

そこからはゆるゆると電流が下がっていきます。これがいわゆるトリクル充電というやつですね。
Appleの説明では80%からトリクル充電に入るということでしたが、iPhone7では何度計測してもこうなります。
同じ条件でiPhone6を計測をしてみるとまったく異なる制御がされていることがわかったりして、いろいろな発見があります。

という感じでiPhoneを充電してデータを取ったり、ケーブルを変えてデータを取ったり、充電器やモバイルバッテリーのデータを取ったりしているんですが、数字から逃げて文学部に進んだド文系なもので、データを読み解く基礎知識が足りてないなと痛感する日々。
いまさらオームの法則とかジュールの法則を遠い記憶の彼方から掘り起こす羽目になりました。(なお発掘は失敗した模様)

まぁそんなこんなで数字と格闘していると、多くのサイトで計測されているデータは正しくないんじゃないかというのも見えてきます。
かなり面白い記事になりそうだという手応えはあるので、期待しつつ待ってやってください。

あとLucie,Tooって何度聴いても最高だよねってことを伝えたい。

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Comment

  1. しいば より:

    こんばんは。
    興味深く拝見しました。maxiさんのペースで今後ともよろしくお願いします。

  2. 丹羽 より:

    Appleは残念ですが、
    reliphoneさんの記事を楽しみにしてます( ¨̮ )

  3. 名無しさん より:

    Flacのハイレゾ再生ソフトがiPhoneになかった頃、nPlayerを紹介していただき本当に有難かったです。

  4. 通行人 より:

    私にとっては、ここが唯一、安心して読めるアプリレビューサイトです。
    Workflow もこちらで知り、不可欠なものになりました。

    アップルの真意は不明ですが、
    「現状の悪いところに対応したつもりの方針変更が失敗に向かっている」
    みたいな、しょーもない話なのでしょうか。
    アップルの失敗ではなく、ネット社会の失敗なのかも知れませんが。

  5. だち より:

    海外でmaxiさんが信頼できる(読んでいる)アプリレビューサイトってあるんでしょうか?
    日本ではreliphoneさんが一番だと思います。

  6. OSG33 より:

    周りでも「iPhoneX買ったから、神アプリ30選 とりあえず全部入れてみた!」とか言ってる人たちが多くて、ちょっと悲しくなったりします…笑
    でもホント、ググり力が無いと、良アプリには出会えなくなってしまう可能性もありますね、悲しい…。
    それはそうと、Lucie,Too 素敵ですね!
    リーガルリリー、Hump Back 辺りも良い感じですので是非。

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