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iPhoneのバッテリーに関する基礎知識 その3 – 満充電の後にも充電を続けるとどうなるか

  2018/12/03

充電に関するいろいろな通説を目にします。
充電が終わったらすぐに充電器から外すべきだとか、満充電になったら自動的に止まるから問題はないとか、意見は様々です。

結論から言いますと、充電器につなぎっぱなしで放置をすると、充電完了後にも微弱な電流がずっと流れています。
気になる人は外しましょう。

 

グラフから見る充電状況

iPhone 7をほぼ空の状態にしてから8時間充電・計測をしてみました。

▼iPhone 7、電源オフ、1%~

2度の大きな電流変動の後に、2時間15分を超えたあたりからグラフが平坦になっています。以降はグラフに変動がなくなりますので、このタイミングを充電完了と判断すべきでしょう。

なおグラフが平坦になるより10分以上前の段階からiPhoneのバッテリー残量表示は100%になることがわかっています。
これは以前から書いている通り、『満充電≠100%』ということを示すものでもあります。

このグラフでは充電完了後にも0.067A程度の電流が流れ続けています

もうひとつグラフを見ていきましょう。
今度は同条件で、iPhoneの電源をオンにして計測したものです。

▼iPhone 7、電源オン、1%~

システムが稼働しているので各所でスパイクがありますが、概ね同じ傾向が見て取れるでしょう。
スパイクはそれぞれ3秒とか4秒程度のごく短時間のものになります。

しかし大きな違いとして、この計測結果では充電完了後に0.01A程度しか流れていません

待機電力があるはずの電源オンのままのほうが満充電後に流れる電気量が少ないのです。
予想に反する結果が出てしまったのでしばらく悩まされましたが、この傾向は何回計測しても同じでした。
電源オンの状態で満充電後に流れた電力量は全体の3.5%でしかありませんが、電源オフの状態では全体の18.9%もの電力が流れています。

明確な答えは出ていませんが、電源オフの状態よりもOSによってより正確に管理されていると解釈するほかありません。
iPhoneは電源が切れていても充電で自動的に電源が入るようになっていることからも、電源がオンの状態で充電することを前提に設計されていると考えてよいでしょう。

これが過大でありバッテリーにとって危険なものであるとまでは断言しませんが、充電をしすぎることはバッテリーにとって好ましくないことは事実ですから、特段の理由が無い限りはiPhoneの電源をオフにした状態で充電をし続けるのは避けたほうが良いでしょう。
まぁ電源が切れた状態から充電を開始すると勝手に電源が入りますので、あまり気にする必要はありません。
(電源をオフのまま充電するためには、充電を開始した後に電源をオフにする必要がある)

電源オンの状態で充電を続ける分には適切にコントロールされているようですから、充電を一晩継続したところで問題は無いでしょう。

 

トリクル充電

Appleは公式サイトで以下のように書いています。
“Appleのリチウムイオンバッテリーは、バッテリー容量の80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替わります。”

80%以降にゆっくりと充電する定電圧充電(CV充電)のことをトリクル充電と呼んでいるわけです。
今回のグラフで言うと、0.68A付近からカーブして電流が減少していくところからですね。

(初出の図ではわかりやすさを重視して充電完了までを範囲としていましたが、より正確にするため範囲を拡大しました)

参考:バッテリー – なぜリチウムイオンなのか? – Apple(日本)

しかし実は一般的な定義とは異なります。
一般的な定義は、満充電の状態をキープするために、自然放電と釣り合う分を絶えず微小電流で補充するというものです。

↓の説明がわかりやすい。

参考:トリクル充電ってなんですか? – トリクル充電とは、バッテリー全… – Yahoo!知恵袋

ということで、満充電後に流れ続ける微弱な電流はトリクル充電によるものと説明すべきですが、Appleが80%~90%でゆっくりした充電になることもトリクル充電だと定義してしまったので、紛らわしくなってしまいました。
面倒ですが『一般的な定義によるトリクル充電』とでもすべきでしょうか。

 

通説の正誤

これまで語られてきた通説を振り返ってみましょう。

・寝ている間も充電を続けていると100%→99%→100%→99%→100%と充放電を繰り返してしまいバッテリーが劣化する

×間違い

少なくとも手元のiPhoneを一晩放置・計測してもそのような現象は確認できません。
微弱な電流により100%の状態でキープされています。

確認したのはiPhone 7なので、3GSとか4などの古い世代だとまた事情が変わってくることもあるかもしれませんけど、もはや過去の話と考えてよいでしょう。
もう少し簡易の計測ですが、最新のXRでも同様の状況は確認しています。

 

・満充電後には自動的に充電が停止する

×間違い

モバイルバッテリーなどでは電流が少なくなると自動的に電力供給を停止するものもありますが、コンセント直結の一般的な充電器では継続して微弱な電流が流れ続けていますし、iPhone側で停止をするような挙動もありませんでした。

 

・充電が完了したらすぐに充電器から外すべき

△神経質になる必要はない

過充電になるほどの電流は流れておらず、適切にコントロールされているので心配する必要はありません。

ただ、ずっと充電したままにするのと、充電が終わったら充電器から外しておくのではどちらがよいかと訊かれたら、「外したほうがよい」と答えるでしょう。
一晩中充電したからといって急速に劣化することはありませんが、少しでもバッテリーに優しくしたいと考えているのなら外しておくことをオススメします。

それでも私も充電したまま寝るなんてのはしょっちゅうしているし、これからもしますけれど。

 

おわりに

これはバランスの問題になるのですが、例えば「毎日緑茶を3倍以上飲むと寿命が延びる」なんて話があったとしても、それを厳格に守り続けて縛られてしまう必要はありません。
生活の中で自然にできる範囲のことをやればいい。

バッテリーを大事にしたい人であっても充電が終わったらすぐに外さなきゃなんて神経質にはならず、気付いたときに必要な分だけ充電ができていたら外す、くらいの運用でよいと思う。

そうでない人は寝ている間に充電したっていい。
ただし電源をオフにした状態で充電を継続するのだけは避るようにしましょう。

もしあなたが適切なタイミングで充電をやめたいと思っているのなら、時間を目安にして充電を止めるのもひとつの手です。
iPhoneに付属する1Aの充電器を使う場合、iPhone6/7/8などは2時間、Plus/X/XR/XSなどは3時間、XS Maxは3時間半でだいたい0→100%になります。
急速充電器を使う場合は、どの機種でも2時間程度を目安に。

タイマー付きの充電器というのは見かけませんので、タイマー付きのコンセントを使うのが楽かと思います。
スマートプラグはアプリやSiriでタイマーをセットできるのでお手軽に使えてよいです。

【商品レビュー】Oittm スマートプラグはタイマーにもワットチェッカーにもなってめちゃくちゃ便利 | reliphone

他にもUSB機器用のタイマーなんてものがあります。

こういうケーブルを挟むと急速充電ができなくなったりするので、実際に調べてみないとオススメできるかはわかりませんが、急がないのであればこういうものもありますよ、とだけ。

いろいろな通説は目にしますが、この記事のように具体的に充電後の電流変化を計測したデータというのは見かけませんので、これが何かの参考になれば幸いです。
もし「ここが違うのではないか」という疑問やご指摘などありましたらコメントしていただけると助かります。

次回は充電が完了したら電流を遮断するというちょっと変わったLightningケーブルを購入したので、それをレビューしようかなと思います。

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Comment

  1. 神無月銀 より:

    充電しながら使わないのならば、充電器にかけて放置でも全然構わないのですね。
    検証おつかれさまです!

    • maxi より:

      問題はないですね。
      推奨するか?というと、また別の話になってきちゃうんで難しいとこですけど。

  2. 勝田 より:

    睡眠記録兼アラームのアプリを使っていてそのアプリでは充電をしたままの使用を推奨されているため、気になりつつもそれに従い充電しっぱなしで毎晩寝ています。
    アプリ稼動中なのでこの記事の計測結果とは状況が全然違うのでしょうけど、参考になりました。

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