iOS 13で拡張されたCoreNFCによって、ようやくiPhoneでもSuicaなどの残高確認ができるようになりました。
対応機種はiPhone 7から11までと幅広い。
他のサイトなどでも取り上げられているのですでにご存じの方も多いでしょうが、iOS 13公開に合わせて残高確認アプリがいくつも登場しています。
カードの残高を読み取るという目的は同じでも、それぞれに性格が違っていますので、そのなかでもオススメできる2つのアプリを、どういう点が優れているのかを説明しつつ紹介していきます。
ICカードリーダー by マネーフォワード
その名の通り、家計簿サービスを展開するマネーフォワードからリリースされたアプリ。
シンプルで使いやすい。
▼メイン画面とカード情報の2画面で構成
読み取ったカード履歴を閲覧できるほかに、右下の紙飛行機ボタンからCSVに書き出すかマネーフォワードに送信するかを選べる。マネーフォワードで支出を管理している人にとっては、これ以上無く便利なアプリでしょう。
ただし、マネーフォワードを使っていない人には物足りないかもしれない。
カード内の情報を読み取るだけであり、その履歴をアプリ内で保存してくれるわけではないので、アプリを起動し直すと読み取った履歴は消えてしまいます。
情報を蓄積するのはマネーフォワードで行うと割り切って使う必要があるのです。
しかしカード内にある現状の残高を知りたいという大半のニーズは満たされますし、このアプリの場合には履歴を管理するのをマネーフォワードに送信することで成り立たせていますから、この割り切り方は間違っていません。
Android版を先行してリリースしている経験があるだけに、デザインも見やすくまとまっており、初心者にも使いやすい良いアプリだと思います。
対応カードは以下の通り。
Suica / PASMO / ICOCA / SUGOCA / PiTaPa / はやかけん / nimoca / manaca / Kitaca / SAPICA / TOICA / icsca / PASPY / IruCa
ICリーダー
さて、私がオススメしたいのはICリーダーというアプリ。
普通すぎて逆に覚えにくい名前ですけど、これがイチオシです。
先ほど紹介したICカードリーダー by マネーフォワードとは違い、スキャンしたカードの情報はアプリ内に蓄積されます。
▼読み取ったカード一覧
複数のカード履歴を保存してくれるし、それぞれに名前を付けることができるので、お子さんが何人かいる場合にはそれぞれのSuicaが管理しやすくなります。
仕事用で分けてる人にもいいですね。
また首都圏以外で喜ばれそうなのが、ホーム画面のアイコンをSuica以外にも変更できる点です。
▼アイコン変更
ICOCAやPASMOなど自分に愛着のあるカードデザインをホーム画面に配置できるという心遣いが嬉しい。
またホーム画面でのQuick Actionにも対応しており、アイコンを長押しするだけでアプリに記録されたカード残高を確認することができます。
▼Quick Action
アイコンを変えたり、長押しするだけで残高を見ることができるとなれば、ホーム画面に置きたくなりますよね。とてもいい試みだと思います。
カードの使用履歴は日付ごとにまとめられており見やすい。
▼乗り降りやチャージの履歴
そして、一番のメリットはオートメーション対応というところです。
先日紹介したNFCトリガーをいち早く活用したアプリになっていますよ。
どういうことかは↓この動画を見てくれれば一目瞭然!
次のアップデートで追加されるショートカットの機能を使うとiPhoneをカードにタッチするだけで勝手にアプリケーションが立ち上がって、スキャンまでしてくれます。
これでアプリケーションをフォルダの中にしまってもいつでも簡単に使えます😁 pic.twitter.com/D0E4MicJyC— IC Card App (@iccardapp) September 26, 2019
iPhoneをかざすだけで、自動的にアプリが起動してカード情報のスキャンまでしてくれます!!
最高にスマートな使い方でしょ!!
いちいちアプリを起動してスキャンボタンを押す作業はもう要らないんです。かざすだけ。
この用途はNFCオートメーションのひとつの完成形だと思います。
(※ショートカットアプリでオートメーションの設定をする必要があります)
もちろんこのオートメーションを使うにはiPhone 11/XS/XRが必要になりますが、普通にアプリを起動してスキャンするだけであればiPhone 7以降で対応しています。
現時点では無料アプリで、課金要素としては『20件以上の履歴をCSVに書き出し』のみ。
Suicaのカード内履歴は20件が上限なので、その都度書き出す人には課金無しで使えてしまうことになります。
良いアプリなので投げ銭ができる課金くらいは付けてほしいですね。
NFCトリガーが使えるiPhone 11/XS/XRなら絶対にこのアプリを選ぶべきだし、そうでない人にも最上位の選択肢としてオススメします。
別のアプリを紹介してるサイトも多いけど、私はこれが一番好きです。
対応カードは以下の通り。
Suica / PASMO / ICOCA / manaca / nimoca / PiTaPa / TOICA / SUGOCA / Kitaca / はやかけん
対応予定
nanaco / Edy / WAON
その他 個人の感想
とても良いアプリなのですが、気になった点が無いわけではありません。
レビューとは良いところを褒めるだけではないと思うので、個人的に気になったところも書いておきます。
私の行動に関する記憶というのは『どこから乗って、どこで降りたか』の時系列に沿っているので、このアプリが採用する『どこで降りて、どこから乗ったか』という逆転した順序づけにはなかなか慣れません。
『どこへ行ったか』を重視してデザインされたのでしょうから、このほうがわかりやすいという人も多いとは思いますけど。
マネーフォワードは『どこから乗って、どこで降りたか』の順番。
▼両者を比較
比較すると方向性の違いが見えてきますよね。
どちらがわかりやすいかは人それぞれでしょうけど。
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カードの履歴情報で、左側にあるアイコンの色が若干薄い。
▼通常の色味と、ダークモードの色味
白が強いため、通常時には弱く感じ、ダークモード時には少しまぶしく感じてしまう
『チャージ』アイコンくらいの色の濃さでやってほしい。
また乗降とチャージの差は濃淡ではなく、色を変えるほうがわかりやすいかと。
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視線の誘導について。
最新の情報は上に、古い情報は下に向けて並ぶのはスマホの基本的な原則です。しかし残高は最下部に表示されています。
最新の履歴は上部にあるのに、最新の残高は最下部と分かれてしまい、視線をどちらに誘導したいのか整理し切れていないように感じます。
1番知りたいのは残高、次に知りたいのは最新からの履歴。それらを近い場所にまとめたほうが一度に情報を把握しやすくなるでしょう。
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画面の下部はスキャン時にせり上がってくるモーダルウィンドウで隠され、引っ込むまで約3秒は残高が確認できないという弱点もあります。
マネーフォワードのアプリでは残高情報を上部に配置しているため、モーダルウィンドウが出たままのスキャン完了直後でも残高が読み取れる。
▼スキャン完了直後の比較
スキャンして3秒経たないと残高が確認できないというのはちょっと待たせすぎだと思います。
残高表示は上部に配置するだけの理由がある。
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スキャンボタンの位置が固定されていないのもユーザーフレンドリではないと感じます。
▼スキャンボタン位置が画面によって変わる
これだけ移動するとさすがに認知負荷を感じるので、配置を固定してくれればユーザーは戸惑わなくてすむでしょう。
画面下部中央のホームインジケータあたりに配置すれば、スキャン時に出てくるモーダルウィンドウのキャンセルボタンと同じ位置で押しやすくなりますよね。
ほんの少し整理すると、より使いやすい、何も考えずに快適に使えるアプリになると思います。
素晴らしいアプリだと思うので、期待を込めて。
おわりに
残高が全然無いのは、iPhoneのモバイルSuicaに移行してカード型Suicaを使ってないからです。