忘れた頃に

お久しぶりです。

このところ昨今のネットのあり方に疑問を感じてしまい、しばらく距離を置いていました。
ネットはいろんな情報が手に入るのが素晴らしいのですけど、信頼できる情報にアクセスすることがどんどんと難しくなってきています。

その原因は誰でも発信者になれるという参入障壁の低さにもあります。それ自体は素晴らしいことですけれどね。
いつの頃からか、ウェブサイトの生存戦略が『とにかく更新回数を多くする』という方向にシフトしてしまい、それは参入障壁の低さも相まって、記事が粗製濫造されていくという結果を招きました。
玉石混淆ならよかったのですが、石ばかりです。

一日に何記事も公開するiPhoneメディア界隈の多くで行われているのは、他サイトの記事を書き直すという行為です。
自分が伝えたいことを書くのではなく、どこかのサイトが伝えていることをそのまま自分の記事にしてしまうことが当たり前のように行われています。
2016年にMERYやWELQが問題となった際には、他サイトからの画像の盗用や、信憑性の低さを断罪されて、運営方針の転換を余儀なくされましたが、iPhoneメディア界隈は断罪されることなく、こうしたことが定着してしまった。
どこかのサイトが「iPhone SE2登場か?」という記事を書けば、たった数時間でおんなじような内容のオリジナル記事がいろんなサイトに登場します。その信憑性なんて二の次です。

とにかく話題に乗り遅れなければいいという読み手も多く、そのただ情報を消費するためだけに読む人たちは、どれだけデマ情報を流すサイトであっても気にしていないように見えます。
たくさんの記事があるところに人が集まり、それを消費する。そのサイクルがどんどんと早まっていった結果、信頼できる情報にたどり着くのがとても困難になってしまった。
ちゃんとキュレーションができていないニュースアプリの存在もそれに加担していますね。

誰かの記事をいかに速く書き直すかというところに価値を持つサイトが影響力を増していく中で、ちゃんと自分で調べて自分で考えた記事を書いているサイトが負けない未来はあるだろうか。

・・・ということを年末年始で考えていたら、書きたい欲が一気に霧散してしまった。

書きたいことはなくても、知りたいことはいろいろとあったので、この1ヶ月はいろんな資料を読んだり、自分でテストしたり、雑誌やWebで情報を集めてみると、まっとうな情報が思っていた以上に少ないことに驚かされました。
名の知られたプロのITライターさんや、日経PC21やMONOQLOなどの雑誌でもかなりいい加減なことが書かれていることがわかってきました。それを一般の読者が見抜くのって難しい。

ということで、いろいろと言いたいことが溜まってきましたので、またぼちぼちと更新していこうと思います。
まだ見てくれている人がいたら、どうぞよろしく。

あとコメントくれていた方々、お返事できなくてすみません。
これから全部コメント返します。

おまけとして、2018年のベストアプリについてちょっとだけ書いておきましょう。

 

2018年のベストニューカマー

私の選ぶ2018年のベストニューカマーは縦式Scriptableです。

縦式は本格的な縦書きのテキストエディタ。

縦式 – 縦書き入力

Kazuyuki Mitsui
仕事効率化, 教育
評価: 4.5(3,058件)

完成度の高さもさることながら、登場してからというもの、単なるバグ修正のみならず驚くべきスピードで新機能を投入し続けており、いまだ進化を続けています。
iPadと外部キーボードの組み合わせで真価を発揮しますが、iPhoneでの使い心地も良くて、特にこのアプリで音声入力をしてみると、横書きのアプリでの音声入力には無かった新鮮さを感じることができる。
喋ったことが原稿用紙に自動で入力されていく様は、子供の頃に思い描いていた未来であった。
文章を書く人には真っ先にオススメしたいアプリ。

ScriptableはJavaScriptでいろんな作業を行える拡張アプリ。

Scriptable

Simon B. Støvring
仕事効率化, ユーティリティ
評価: 5(10件)

ショートカット(Workflow)アプリやPythonistaといった自動化アプリが好きな人は興味を持ってくれるでしょう。
公式のフォーラムにはサンプルのスクリプトがあるので、自分ではスクリプトを書けないという人も覗いてみると便利なものが見つかるかもしれません。

 

2018年のベストアップデート

2018年のベストアップデートはbREADERショートカットですね。

bREADERは自炊向けの書籍リーダーアプリ。

bREADER – 青空文庫

INFOCITY, Inc.
ブック, エンターテインメント
評価: 4(300件)

数年前からアップデートが止まっており、非常に悲しい思いをしてきたものですが、最新の環境でも使えるようにアップデートがされ、ほんとうに震えるほど嬉しかった。
iPhoneを買ってから、今に至るまで、もっとも感動したアプリはこのbREADERであり、それがまた自分の手の中で動いてくれるのですから、これ以上の喜びはありません。
最近、Mac向けのbrc(bREADER用の解析ソフト)が64bitとして作成しなおされました。私はWindowsなので関係ないのですが、Macの人は要チェックです。
bREADER 用おまけツール brc | チラシの裏

ショートカットは言うまでもなく、WorkflowがAppleのアプリとして生まれ変わったことで、OSにより深く関われるようになったという、とても大きな変貌を遂げてくれました。

ショートカット

Apple
仕事効率化, ユーティリティ
評価: 4(919件)

これからさらにHomeKitとの関わりが深くなっていき、ホームオートメーションの未来と共に進化していくことでしょう。
学生が作ったWorkflowが、まさかAppleに買収され、ここまで大きな存在になるとは。
Siriショートカットなど、機能面での進化もありますが、これまでの軌跡を考えると、とても意義のある大きなアップデートであったなと。

 

今日の音楽

テネシー州ナッシュビルのシンガーソングライターCaroline Swon(Caroline Glaser)によるプロジェクトBrother Bird

Brother Bird – Cloudy Collection

なんと美しい音楽だろう。
トリオ編成でありながらも、Carolineの声と彼女のピアノが主役なのだと、あくまで引き立て役に徹するコーラスとギターの心地よさ。

こんな素敵な音楽がまだ2,000回再生にも届いていないとかもう。

13 COMMENTS

ptasuku

いつも楽しみにみています。気の向いた時にでも更新してください。iPhone関連はここのサイトしかみていません

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しいば

待ってましたよ!
きちんとした記事と言うのはそうそう頻繁に書けるものではないと思いますので、どうかmaxiさんの思うペースで。
アプリの紹介、ありがとうございます。さっそく参考にします。

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ayato9

忘れたころに更新されたか見に来ています
最近何かにつけ「ネットの反応は...」と紹介するメディアがあります
リアルタイムをアピールするのが目的でしょうけど釈然としませんね。
個人の意見を吸い上げる効果はあると思いますがどのような意図で
書かれたのかわからないのに...
せめて、これが多数派ですみたいな伝え方は止めてほしいですね。

人は噂好きです。毎年この時期になると新型iPhoneのコンセプト画像やら
まことしやかな話が沢山出てきますね。私はそれはそれで結構楽しんでいます。この手の話題は信ぴょう性はもう無いものとして
あー本当にこんな感じになったらカッコいいなーなんて思いながら

 ※確かこちらでは「通りすがり」と名前を付けていたような
  以前、企画でCloud Music(アプリ)頂いたものです
  もちろん今も使ってますよ!

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XXXX

お久しぶりです
Scriptable, 流石にご存知でしたね…
自分はあまり自動化には詳しくないのですが、以前紹介されていたSafariにJavascriptを注入できるアプリと似たようで違う感触に触るのを少し躊躇ってしまいました(そっちの方も拾ったスクリプトの改造しか使ってませんが…)
調べたところショートカット(Workflow)よりも日本語英語双方の情報が少ないようなので、ぜひ記事を書いていただけると嬉しいです

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一読者

更新再開とても嬉しいです。
ヘッドラインを消費しているというのは言い得て妙だと思います。
自分もrssで大量の情報を追っていますけどヘッドラインだけ見て読み飛ばすところとpocketに保存して後で真剣に読むところとを区別するやり方をしています。

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shbn

いつも楽しく読ませて頂いてます。
最初はセール情報を更新されていた頃にこのブログを知りましたが、アプリ紹介の記事が格段に面白く、workflowを初めて知った時などは感動のあまりずっといじっていました。
普段のニュースサイトへの考え方や先日のPR記事なども楽しく読ませてもらっています。
気が向いた時だけでも嬉しいのでこれからも応援しています。

音楽紹介も趣味が合うようで、CDが増えて困っています笑

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Karl

いつもお世話になっております。
「Mac関係のサイトたちの嫌な点」は私も前々から気づいておりまして「うーん…」と悲しく思っていたのですが、ご自分から発信なさる方においては、それはもう悲しいとかいうレベルを超えた感情が湧き上がること、想像に難くありません。
とりあえず、今まではmaxi様のしっかりとした着眼点と論旨に唸らされておりました。
お気持ちが向きましたら、また更新なさってください。RSSは読み続けておりますので。

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maxi

▼ptasukuさん
いつもありがとうございます。
更新頻度はだいぶ落ちてしまいましたが、役に立つ内容をお伝えしていけるよう頑張ります。

 

▼しいばさん
お待たせしてしまいました。
むかし、役立つ記事を一日に何本も書いている方がいて、「すごいなー お近づきになりたいなー」と近づいてみたら、他所のサイトを“参考”にしているだけだったという悲しいことを思い出しました。
役には立たないとしても、自分の伝えたいことを書いていきたいと思います。
ペースはサボり癖が付かないように定期的にできるよう心がけます。

 

▼ayato9さん
何度も確認させてしまったようで申し訳ないです。
ネットの反応をすくい上げること自体はいいと思うんですけど、自分の意見を代弁させるための恣意的な使い方が目に付きますね。
他人の意見をまとめることで、自分が当事者にならないでいようとするのがやっかいです。

新しい製品についていろいろと想像したり語ったりするのは私も好きです。
願望というか妄想丸出しで作り上げたコンセプトCGも。
それが待つ楽しさでもあるんですが、いつの頃からか盗み出した情報をリークと称して垂れ流すのまで当たり前になってしまったことは残念です。
タイトルで全部説明しちゃうし、画像も流れてくるので、見たくもないのにネタバレをされ続けてる感じで。映画みたいにネタバレへの配慮があればまだ許容できるんですけどねー。

Cloud MusicはCloudBeatsのことですかね。良いアプリなのでわたしもまだ愛用しています。

 

▼XXXXさん
Scriptableは誰か記事書かないかなーと私も願っている感じですねぇ。
自分で解説記事を書けるほどガッツリといじってはいないので、いまのところは難しいです。
無料なのでもっと広まってユーザーが増えてほしいところ。
この開発者の新作ももうじきでるようで、そちらもたのしみです。

 

▼一読者さん
再開して誰もいなかったらどうしようと思っていたので、読んでくれる人がまだいてくれて嬉しいです。
情報の消費はかなり深刻だと思っていて、多くの人が『何故』をすっ飛ばしてわかりやすい結論ばかりを求めるようになっているのかなと感じています。
そこから先が何も無いというか。
結論よりもそこに至るまでのことや、そこから先のことのほうに興味があるのでなんとももったいないですね。

たとえ少数でもちゃんと真剣に読んでくれる読者さんがいてくれることがわかってホッとしました。

 

▼shbnさん
楽しく読んでくれてなによりです。
音楽の趣味は表に出していない面も多くて実際はかなりカオスなんですが、オススメしたいと思っているものがヒットしているのは嬉しいですねー。
あとCD派がいてくれてホントに嬉しい。
またいろいろ紹介しますので気に入ったのがあれば教えてください。

 

▼Karlさん
「9TO5Macによると」とか「MacRumorsによると」とか「Macお宝鑑定団によると」なんて記事ばかりで嫌になってしまいますね。
そこから独自の論を展開していくのなら良いのですが、そうはならず、感想をちょこっと付け足して終わりになってしまうのですから。
日本はiPhone率が高いのに、どうしてしっかりとしたiPhoneメディアが育たなかったのか不思議だし残念です。

RSS解除しないでいてくれてありがとうございます。

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あら、黒人絵文字使ったら何も表示されて無いですね。すみません
今後も更新されるようでしたら私の信頼できる情報源として今後も意識してチェックしようと思います。よろしくお願いします

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まんもす

更新頻度が落ちて寂しいですがいつも読んでいます。
記事にしろ動画などにしろ、仰られている通りパクリや誤った内容のものが濫造されているのを感じています。
信頼できるサイトの一つとしてこれからも更新楽しみにしています。

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maxi

▼西住まほさん
こんなのでも自分の苛立ちや焦りを抑えて文章に落とし込むまでに何日もかかってしまったので、そう言っていただけてよかったです。
ありがとうございます。

 

▼あさん
絵文字を使ったら何も表示されないのは私も初めて知りました。
てっきり文字化けくらいはするものかと。

書くのは遅いですが、また書きたいことが出てきたので、それが尽きるまでは大丈夫です。
またお付き合いください。

 

▼まんもすさん
さみしい思いをさせない程度には書いていきたいなと思っています。
他人の記事を書き直すサイトほどには更新頻度は高くないですけどね。
そのぶん内容はしっかりとしたものをお届けできるように。

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