1Password 6の料金プラン解説(サブスクリプションと買い切りの違い)

【注意】
この記事で書いているのは1Password 4/6についてです。
2018年5月23日現在ではより新しい7がでており、ここで説明しているライセンス形態とはまた異なっております。
【注意】

パスワード管理アプリケーションで定番な1Passwordですが、サブスクリプション(定額課金)プランの提供を始めました。
買いきりに関してもちょっと前からライセンスの形態が変わってきているので、この機会に買い切りとサブスクリプション両方を整理していきたいと思います。

1Password

AgileBits Inc.
仕事効率化, ユーティリティ
評価: 4(970件)

 

買い切りライセンス

まず従来からある買い切り型のライセンスについて説明していきます。
これまで1Passwordは4つのプラットフォームで展開されており、iOS、Android、Mac、Windowsでそれぞれライセンスが必要でした。

iOS

基本無料で提供されており、ちょっとしたログイン情報であればそのままでも使えますが、まともに使うにはアプリ内課金1,200円のPro機能が必要です。Proで提供されるものは以下の通り。

▼左が無料版・右がPro
1password

無料版ではログイン、セキュアノート、クレジットカード、個人情報を扱えます。
Proではパスワード、運転免許、アウトドアライセンス、サーバー、データベース、パスポート、メンバーシップ、メールアカウント、ライセンス、報酬プログラム、無線ルータ、社会保障番号、銀行口座を登録できます。

・アイテムの詳細な設定
無料ではログイン情報にユーザー名とパスワード、URL、メモしか登録できませんが、Proでは複数のURLや任意のフィールドが使えるようになり、添付ファイルなどを見ることができます。(ファイルの添付にはMacかWindows版が必要)
他のカテゴリでも使えるフィールドが増えます。

・ワンタイムパスワード
TOTPベースの二段階認証を扱えるようになり、Google Authenticatorなどで使われているワンタイムパスワードをこのアプリにまとめて管理できるようになります。

・Apple Watch対応
Apple Watchでパスワードやワンタイムパスワードの表示が可能になります。

・フォルダとタグ
カテゴリに分類されている情報をフォルダやタグで整理できるようになります。

・複数の保管庫
パスワードの保管庫を複数切り替えて使えるようになります。プライベートと仕事関係で分けるとかですね。

 

Android

30日間はフル機能での無料トライアルが可能ですが、機能的にはiOSよりもかなり限定されているとの話。
その期間が終わるとアイテムの追加や編集といった基本的な機能も使えなくなり、すでにあるアイテムの読み出し専用になってしまうようです。継続利用にはPro機能が約1,200円で提供されています。

 

Mac

Mac版はAppStoreで販売されているものとデベロッパの直販がありましたが、MacAppStoreはサブスクリプションに移行し、買い切りは直販のみになりました。
直販では64.99ドルで販売されており、現在のライセンスはWindows版と共通で使えます。

OS X Yosemite以降に対応。

 

Windows

デベロッパの直販のみで64.99ドルです。ライセンスはMac版と共通。
買い切りライセンスで使えるのは1Password 4 for Windowsまでで、現在最新となる1Password 6では使うことができません。
バージョン5をスキップして、4からいきなり6になっていますが、機能的に6が優れているかというとそうでもないのが実情です。

1Password 6 for Windowsはサブスクリプションのみ

Windows 7以降に対応。

かつてはWindowsとMac版が直販でそれぞれ50ドルくらいで、別々に買わなければいけませんでしたが、いまは1つのライセンスでWindowsとMacの両方が使えるようになっています。
1ライセンス:1ユーザーで、パソコンの台数には制限はありません。

ライセンスは将来的にメジャーアップデートで買い直しになる可能性があります。(※1)

 

サブスクリプションライセンス

上に示した通り、買い切りタイプではプラットフォームで別々のライセンス購入が必要でしたが、今回導入されたサブスクリプションライセンスは1契約ですべてのプラットフォームアプリが使えるようになりました。iOSやAndroidのPro機能もアンロックされますし、Mac、Windows、iOS、Androidに加えてWebでの管理もできるようになりました。これらは30日間無料でフル機能を試すことができます。

まず注意しておきたいのは登録する場所によって金額が違うという点でしょう。

iOSアプリ内課金 400円/月 4,800円/年
Macアプリ内課金 480円/月 5,760円/年
公式サイト 3.99ドル/月 5,500円/年
公式サイト 36ドル/年 4,140円/年

(※1ドル115円で計算)

一番お得なのは公式サイトの年間契約、次にiOS版のアプリ内課金になります。なぜかMac版とiOS版で金額が違っていますが、サブスクリプションライセンスは共通なのでMac版から登録すると無駄に高くなってしまいます。

公式サイトには月2.99ドルと書かれていますが、これは年一括払いしたときの金額なので年36ドルと考えた方がいいでしょう。月払いも選択できますがその場合には3.99ドルになります。
公式サイトから登録するのが一番お得ですが、英語で支払いにはクレジットカード or Paypalが必要になりますからハードルは高めです。

サブスクリプションプランに用意されたWeb版により、専用のアプリが無いLunuxやChrome OSなどでもデータを参照できるようになりました。

▼Web版1Password
1password

またファイルやパスワードのヒストリー復元機能も備えた1GBのクラウドストレージが提供されます。

サブスクリプションプランではこれまでと違いパスワードを独自のサーバー上で管理するということで安全性が心配になると思いますが、これまではユーザー自身が設定するマスターパスワードのみで暗号化していたものを、さらに128ビットのアカウントキーと組み合わせて暗号化するように強化されましたので、単純な流出の危険性は低くなっています。(アカウントキーはサブスクリプション登録時に発行されますので無くさないように保管してください)

サブスクリプションでは複数のデバイスで使っている人には初期投資を安く抑えられますし、買った直後に新しいものが別アプリとしてリリースされ買い直しになるという悲しい事態を防げるメリットがあります。そろそろ新しいのが出そうだから買い控えるというのはユーザーにとってもデベロッパにとっても良くないことでしたから、その心配が解消されたのは大きなメリットだと思います。

家族向けの1Password Familiesというプランもあり、こちらは5ユーザーが使えて60ドル/年(4.99ドル/月)、1ユーザー追加で+1ドル/月です。
AppStore経由だと5ユーザーで700円/月。
Familiesプランにはファイルやパスワードの共有機能、ユーザーごとのパーミッション設定、アカウント復旧などの機能が追加されます。

AppStore経由で支払いをするか、公式サイトから支払いをするかで微妙に差が出てきますので十分に検討をしてください。

 

いったいどっちを選べばいいか

Mac版はMacAppStoreにて7,800円で販売されてきた買い切りのものもサブスクリプションに転換しており、買い切りのサポートがいつまで続くかは不明な状況です。新規で購入される方もいずれサブスクリプションに移行する覚悟は必要でしょう。
これから使ってみようという方で、複数プラットフォームの端末で利用したい方、有償アップデートで買い直しは嫌だという方はサブスクリプション契約をするといいでしょう。ただしiPhoneのみでしか使わないという方は買い切りのほうが安いですから、お使いの環境に合わせて慎重にご検討を。
サブスクリプションは30日間の無料トライアルが可能です。

公式ストア → https://agilebits.com/store

すでに買い切りのライセンスをお持ちの方はいまのところ継続して利用できますので、焦ってサブスクリプションを契約する必要はありません。

 

おわりに

既存のユーザーは今までと変わらずに使うことができる。新規ユーザーには支払いの選択肢が増えたということでいまのところ悪いことはありません。

ソフトウェアのアップデートにはお金がかかるものだということを理解していても、実際に毎月支払うというのはやはり抵抗があるものです。
安くない額を支払うのであれば、いつまでも微妙なWindows版をいいかげん正式リリースしてほしいし、日本語での情報も用意してほしいもんですね。私がサブスクリプションに移行するとしたらせめてそれが解消してからかなと思います。

そういえばWindows版の1Passwordを使ってて、ブラウザでCTRL+¥のショートカットキーを押すとフォームに自動入力してくれるって超便利な技をずいぶん後になるまで知らなかった。初めて使ったときはびびりました。まだ知らない人がいたら試すといいよ!

 

参考

※1
AgileBits Software Licenses
Upgrade Policyを参照

―――

AgileBits Blog | Introducing our new 1Password subscription service — get 6 months free!
今回の発表について書かれた公式ブログ記事。

Pricing – 1Password
サブスクリプションで提供される機能が一覧で見られます。

16 COMMENTS

しかさω

3年以上前にサイト直販で購入したバンドルライセンスですが、ライセンスの再発行をしてみたところ 、Mac用のライセンスファイルが一つ、Windows用のキーコードが一つ発行されました。
MacのライセンスにWindowsのキーコードが付いてきたり、WindowsのライセンスにMacのライセンスファイルが付いてきたりはしませんでしたので、使い回しはできないように思えます。

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maxi

Mac版はコードじゃなくてファイルで認証するとは知りませんでした。
それじゃあ使いまわしはできそうにないですね。
ご報告ありがとうございます。

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maxi

補足ありがとうございます。
Windowsストアはライセンスが買えるわけではないと思ったので今回は紹介から外させてもらいました。
もしライセンスを買えるとしたら申し訳ないです。

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匿名

WinPCを初期化して1Password6を導入してみたのですが
ライセンスキーの入力項目が消えたようなきがするのですが
1Passwordアカウントのメールアドレスと照合して確認しているのでしょうか?

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maxi

1Passwordアカウントを作られたのでしたら、それはサブスクリプションの登録をして、そちらのライセンスが使われているということだと思います。
買い切りのまま使うのであればアカウントを作る必要がありませんから。

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keiko

すみません、色々調べているのですがなかなか分からないので教えていただけると助かります。Macでライセンスを7800円で購入したのですが、たまに使うWinにも1passwordを使いたいと思っています。Winで使うには、再度ライセンスを購入しないと使えないのでしょうか?

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匿名

すみません、先ほど質問したkeikoです。自己解決しました!Winのアプリを6にバージョンアップしたらわかりました。失礼いたしました。

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maxi

それは何よりでした。
同様の疑問をお持ちの方の参考になりますので、自己解決された場合でもどのようにして解決したかを書いていただけると助かります。
たぶんサブスクリプションへの移行ってことなんでしょうけど、それ以外の方法もあるので記事にしてみます。

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匿名

大変参考になる記事をありがとうございます。
Windowsにも1Password6が配信されましたが、現在は買い切り・サブスクリプション共に1Password6の物しか購入できないのでしょうか。

公式サイトやブログには特に記述が見当たらなかったのですが、もしご存じでしたらご教示頂けると幸いです。

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maxi

買い切りのライセンスでは4と6の両方がいけますね。6はサブスクリプションのみでした。すみません。

いまも通常のダウンロードでは4が提供されています。
https://agilebits.com/downloads

サブスクリプションだと6からになってしまうんじゃないかと思います。これは試していないので確かではありませんが。

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匿名

検証ありがとうございます。
買い切りなら4、サブスクリプションなら6と思っておくと良さそうですね。

(気持ちの問題ですが)唯一の鍵であるマスターキーをオンラインで登録する不安や、毎月料金が発生するストレスを考えて、4(買い切り)を買うことにします。

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maxi

6がすごく魅力的なものに仕上がっているならまだ考えようもあるんですけど、いまのところ微妙ですしねー。
日本語化をサブスクリプションのほうだけやってくれれば移行するユーザーも増えるでしょうが、その気配もないですからねぇ。

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reshz

こんばんは。iPhone版を2年以上使ってきた者です。サブスクリプションが開始してからあまり状況は変わっていないようですね。
先日Touch IDの付いたMacを購入したのですが、なかなか導入に踏み切れずにいます。私は管理人さんと同じく買い切り派ですが、サブスク開始後メジャーアップデートがないということで、今後の動向がつかめませんねぇ。サブスクに統一するならしてくれる方が安心して契約できますし。
独り言の様になってしまいすみません(笑)

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maxi

安くはないので二の足を踏む気持ちもわかりますけど、TouchID付きのMacBookをお持ちなら1Passwordを使ってないのはもったいない気がしますねぇ。
せっかくの目玉機能ですから。

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maxi

ちょっと上のところで、買い切りライセンスでは4と6の両方が使えたと書きましたが、それは間違いで、6は使えてるように見えたものの同期やローカルでの編集機能などがロックされている閲覧専用モードになっていました。もうしわけない。

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