2019年のベストアプリに選ばれたSpectreは今年の2月末にリリースされた長時間露光ができるカメラアプリ。
機械学習により手振れを押さえた画像合成ができるのがウリで、こうした長時間露光系の最大の弱点であった手振れは、手持ち撮影でも十分実用的なほど抑えられています。
実際にどういうことができるかというと、動いている人や車を写真から消したような撮影が可能になります。
この撮影している時の動きはLivePhotosとして同時に記録することもできるので、そちらも見てみましょう。
動いている人間が徐々に消えていくのがわかるはずです。
画面全体はまるで三脚を使っているかのように静止してますけど、これが9秒間もの手持ち撮影でできちゃうんですよ。
他のカメラアプリを使うとよくわかりますが、手持ちでここまでブレないアプリってありません。普通ならどうしても三脚を使わないと綺麗に写らないんです。
3秒、5秒、9秒と撮影時間を変えることができるので、被写体に応じて長さを変更します。
もうひとつ撮影サンプルを。
▼Spectre撮影サンプル2
これは表参道のApple近くの歩道橋から撮影したもの。
歩道橋の上ってじーっと静止してみるとわかるんですけど、結構揺れています。足場全体が揺れているので、たとえ三脚を使ったとしても本来はこんな写真は撮れないんです。
ですが、この写真では車が消えてうっすらとした色の帯になっているでしょう?それなのに建物はブレてない。
これを撮影したときはかなり驚いたのをよく覚えています。
Spectreではこういう写真が簡単に撮れるんです。
ちょうどいい写真がなくてサンプルはありませんが、夜間の撮影ではテールライトが線となって写るので夜の撮影も面白いですよ。
おわりに
ベストアプリにまで選ばれたのは驚きでしたが、確かにこれは良いアプローチでした。
開発したのは元Appleのデザイナーと元Twitterのプログラマーによるコンビ。
彼らの開発したHalideというカメラアプリも話題になったのでご存じの方も多いと思います。
Halideは片手でも手軽に本格的な撮影ができるようにと設計されたものですが、それでいてRAW撮影も可能なんです。
技術的にもいろいろと面白いことをやっていて、彼らのブログは一読の価値があります。
多重撮影合成のCortex Cameraと比較してSpectreを酷評するストアレビューがありますが、方向性がまるで違うものですから比較して優劣をつけるのは間違っています。
そのあたりを誤解されたままレビューを書かれてしまうのは作り手にとってもユーザーにとっても不幸なことですね。
Cortex系の夜間撮影に強いカメラアプリがほしい人はNeuralCamを買いましょう。(Cortexはアップデートが止まっており、現在はちょっと残念な感じです)
NeuralCamもSpectreと同様に機械学習を使った画像合成がウリとなっていますが、撮影してできあがってくるものはまったく性格が違いますので混同しないように。
Spectreの安定化機能はiPhone 6S以降で利用可能となっていますので、ご注意ください。
(★1レビューはiPhone 5sの人が書いています)
実はこの発表が急だったので、上の撮影サンプルは今年の3月に撮影したiPhone 7のデータです。
それでもここまで撮れてるんですからすごいですよね。
そのうちiPhone 11で撮影したものもお目にかけたいと思います。
注目すべきカメラアプリであるというのは確かです。
Appleによる解説は↓こちらからどうぞ。
今年のベスト
iPhone App: Spectreカメラ
レビュー、ありがとうございます。
なるほど、ベストアプリに選ばれるだけのことはありますね。
普段はミラーレス一眼で写真を撮るので、手元のXRでカメラアプリを買うつもりはなかったんですが、これは俄然興味が湧きます!
長時間露光ってところだけに注目して、夜景が綺麗に撮れると勘違いしちゃう人がちらほらおられるんですが、動きのない夜景なんかには向いてないんですよね。
あくまでも動きのあるものを景色を撮影しないと意味はなくて。
使い方を間違えなければ面白いアプリですよ。