Appleのアプリ審査ガイドライン変更について

ちょっと前に話題になっていたのでご存知の方もいらっしゃるとは思うが、Appleはアプリの審査ガイドラインを更新し、今後YouTubeの動画をダウンロードする機能を認めないことを明記しました。
しかしこの変更による影響を語る上での重要な点はそこではありません。
もともとYouTubeのダウンロードというのはGoogleから認められておらず、そうしたアプリが登場してもGoogleの要請により削除されるのが通例であった。それが審査の段階で弾かれることになったというだけ。
YouTubeに関しては以前と大して変わりません。
では何が重要となるか。

Appleの審査ガイドライン

変更されたガイドラインを確認してみましょう。

8. Content and Intellectual Property Rights

8.6 Apps that include the ability to download music or video content from third party sources (e.g. YouTube, SoundCloud, Vimeo, etc) without explicit authorization from those sources will be rejected

https://developer.apple.com/app-store/review/guidelines/#trademarks-trade-dress

第三者のサービス(たとえばYouTube、SoundCloud、Vimeoなど)から明確な許可を得ていない限り、音楽や動画をダウンロードする機能を持つアプリはリジェクトされる、とされています。

 

YouTubeの規約

YouTubeの規約はこうです。

5. お客様によるサイト上のコンテンツの使用
本コンテンツは、「現状有姿」でお客様に提供されています。お客様は、本コンテンツに、本サービスの機能により意図されており本サービス条件により認められている限度で、参考目的での個人的な利用のためにのみアクセスすることができます。お客様は、「ダウンロード」または同様のリンクが本コンテンツについて本サービス上でYouTubeにより表示されている場合を除き、いかなる本コンテンツもダウンロードしてはなりません。お客様は、YouTubeまたは関連する本コンテンツのライセンサーからの事前の書面による同意なく、コピー、複製、送信可能化、出版、翻案、配布、放送、表示、販売、ライセンス付与又はその他一切の他の目的のために利用されてはなりません。YouTube及びそのライセンサーは、本コンテンツ内で並びに本コンテンツに対して明示的に付与されていない、一切の権利を留保します。

https://www.youtube.com/static?template=terms&hl=ja&gl=JP

YouTubeはこのように規約でダウンロードを禁じています。
「ダウンロード」のリンクが付いているものならOKってことにはなっていますが、そうしたリンクは見たことがありません。

SoundCloudやVimeoはダウンロードを許可するかを投稿者が選択できるようになっていますので、そうしたもので一部許可されている形です。
それ以外もダウンロードできるアプリというのは審査で弾かれることでしょう。

Appleの変更は権利者やサービス提供者が認めていないダウンロードはNGという、至極まっとうなものです。
YouTubeの動画をダウンロードしたいというのはとてもニーズのあることなので、そこばかりに注目されがちですが、他にも大きな問題があります。

 

ニコニコ動画の規約

次にニコニコの規約を見てみましょう。

利用者は自身が登録した自己のアカウント情報を使って、明示的にダウンロードが許諾されている場合を除き、ソフトウェア(記録媒体に記録されたもの及び通信回線を介して提供されるもの、並びにブラウザのアドイン等を含む)を介することにより、又は運営会社が指定しない第三者が提供するウェブサイトを介することにより、「niconico」で視聴することのできる動画投稿サイトから動画データをダウンロードできないものとします。

https://account.nicovideo.jp/rules/account

そう、ニコニコも禁止されているんです。
iNicoやSmilePlayerなどの人気アプリに付いているキャッシュ機能というのは、キャッシュという言葉を使って誤魔化してはいるが、実態としてはダウンロード機能に他ならない。
ということでAppleのガイドラインに抵触しています。

「キャッシュはダウンロード機能じゃないからセーフ」って主張もあるとは思うんですが、再生を伴わずに動画を保存しておけたり、オフラインでも再生できたり、消された動画でもいつまでも保存しておけるなんてのはキャッシュの概念から逸脱していると思います。
それに明示的に動画を指定して保存できるのをキャッシュと主張するのは苦しい。
まぁこの辺の用語定義については専門ではないし難しいところがあるのでひとまず置いておきますが、これまでもYouTubeのキャッシュ機能を搭載したアプリというのはそのほとんどが消されています。キャッシュ機能と言い張ってもセーフとはならないんです。

 

まとめ

Appleのガイドラインがどこまで厳格に適当されるのかはいまいちはっきりしませんが、iNicoやSmilePlayerは楽観できない状況です。
nicoliもキャッシュ機能を検討しているような話がありましたが、果たしてどうなるか。

公式アプリでは満足できないから非公式なアプリが登場するわけで、サービスが発展する上では必要なものだと思います。
しかし需要があるからと言って認められていないことまで実現させてしまうと、それは排除される恐れがあるということも理解する必要があります。
もちろんこうしたことはアプリ制作者であれば把握したうえでぎりぎりのところを攻めているんでしょうけどね。

とにかくニコニコのキャッシュ機能というのは本当に首の皮一枚でつながっている、いつ消えてもおかしくない機能といえます。

アプリの審査とはまたちょっと違う話ですが、かつて「にこ☆さうんど♯」というニコニコ動画の音声をダウンロードできるサービスが訴えられ閉鎖されました。
その際にドワンゴは寄生型サイトという表現を使っています。

寄生型サイト:第三者サイトに公開されているコンテンツを、リンクやダウンロード等の方法で入手し、自身のサイト上で公開、誘導しているサイトで、主に広告収益を目的として開設されている。

http://info.dwango.co.jp/pi/ns/2014/0508/index.html

これは何もニコニコに限った話ではありませんが、宿主に寄生と呼ばれないためには、共存するための振る舞いを考えていく必要があります。
特に公式が有料で提供している機能を実装するのであれば、それは有料会員のみの提供にするなど、慎重にやっていただきたいと思います。
アプリがどんどん快適になるのは嬉しいけど、サービス提供者の利益を損ねないことはもっと大切。

他人の庭で何かをするならお行儀良く。

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