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Evernoteの価格改定とその影響

  2016/06/30

先日8周年の記念イベントで価格改定を予告していたEvernoteですが、発表された新プランは予想以上に大きな衝撃を与えることになりました。

 

変更点

現在のプランは以下の3つ。
evernote-price

Evernote ベーシック

無料
同期できる端末が2台までに制限されることとなりました。パソコンとスマホで使ったらそれで上限となります。
ただしWebサイトからの利用は台数制限の範囲外です。

Evernote プラス

月額 240円または年額 2,000円
 ↓
月額 360円または年額 3,100円
機能に変更はありません。

Evernote プレミアム

月額 480円または年額 4,000円
 ↓
月額 600円または年額 5,200円
機能に変更はありません。

既存ユーザーに対してこの料金改定が有効になるのは 2016 年 8 月 15 日以降からとなり、対象となるユーザーには2週間以内にメールが送られます。
新規ユーザーには本日よりこの価格が適用されます。
詳細は公式ブログ(※1)で。

 

変更による影響を考える

100年企業を目指すEvernoteにとって、収益率の改善はかねてからの課題でありました。
Evernoteグッズを作り靴下などを販売して、当初は売り上げも好調と伝えられていましたが、それも撤退。(※2)(※3)
昨年4月には安価なプラスプランを設けるなどして、ライトユーザーの取り込みを図ってきました。
しかしここにきての値上げということで、プラスプランが思ったほどの売り上げを達成していなかったことを窺い知れます。

特にいままでは台数無制限だっただけに、無料プランの2台までという制限はとても厳しく感じてしまうものです。年額3,100円というのは決してライトユーザー向けの金額ではなくなってしまいましたし、同等の機能を無料で提供するMicrosoftのOneNoteがライバルとして登場し、Evernoteからのインポートツール(※4)まで提供している以上は、無料ユーザーの大量離脱を引き起こすのは確実でしょう。

いまのところAPIの変更やサードパーティーアプリに関する内容は発表されていませんので、それ次第では更なる混乱も出てくるかもしれません。

今回の価格改定はTierが1段上に上がっただけのように見えますが、実はアメリカではさらに影響が大きく$49.99→$69.99/yearと20ドルも上昇しています(※5)(※6)。これには海外のコミュニティでも反発が強く、無料ユーザーだけでなく上客であったはずのプレミアムユーザーの離脱まで引き起こしているようで、その影響がどこまで大きくなるかは注視していかねばならないでしょう。

ちなみにソースネクストが販売しているEvernoteプレミアムパックという商品は約9,000円で3年分のプレミアムプランが使えるというものなのですが、いま現在も販売をしているようです。(※7)
8/15の改定前であればこれが有効だとすればかなりお買い得になりますね。

Appleのサブスクリプションに対する取り分が2年目以降は30%から15%に減るというニュース(※8)は、長期の契約ユーザーを抱えるEvernoteにとっては待っているだけで収益率が大きく改善するはずのものでした。Googleも同様の施策を発表しています。
しかしそれを待たずに大幅な値上げに踏み切った。攻めねばならない事情が透けて見えます。

 

おわりに

長期にわたって顧客のデータを安全に保管し続けるためには企業の体力が重要になってくるのは間違いありませんし、Evernoteを愛する人たちがしっかりお金を払って支え続けないと立ち行かなくなるのは自明の理です。
しかしMicrosoftという巨人が無料でサービスを提供している以上は、Evernoteは顧客を惹きつける魅力を示し続けなければいけない。

これから先も変わらないことが 2 つあります。みなさんの生産性を最大限高めるためのお手伝いをすることと、弊社のビジネスを可能な限り透明に運営していくことです。つまり、みなさんに広告を見せたり、みなさんに関するデータを売ったりすることはしません。あくまで、良い製品を適正価格で提供するだけです。(※1)

Evernoteの掲げる理念は美しい。

サービスのみで収益を上げるというのはとても素晴らしいことですが、一部の有料ユーザーによって膨大な数の無料ユーザーを支えるというのには限界があります。健全な収益化を図る今回の値上げと無料ユーザーに対する制限強化は理解できるものです。ただしそれが通用するのは独占市場であればこその話であって、無料ユーザーを締め付け、魅力的な展望を示さないままに行われる単なる値上げだけでは賛同を得られないでしょう。

いつだったか、「Evernoteが無くなったら死んでしまう」と書いていた方が無料ユーザーだったことにとても驚かされました。どれだけ愛用していても、サービスにお金を払うことを嫌うユーザーは確実にいます。そうしたユーザーはきっと他のサービスに移ることをためらわない。

サービスにお金を払うというのはとても大切なことですが、ライバルが同様のものを無料で提供する以上は、それに対抗するプランも必要なのではと心配してしまいます。
ユーザーは広告を嫌いますが、それでも多くの人たちは無料のサービスが広告によって支えられていることを理解しています。安定した経営には無料ユーザーからも収益をあげられるように広告モデルも検討していただきたいものです。生産性を高めるためには広告は邪魔になるという主張はとてもよくわかりますけど、それで台数制限をされるくらいなら広告があった方がよほど生産性が高いように思えてなりません。

前CEOのフィル・リービンは常に広告に否定的でしたが、いまのCEOが考えを変える日は来るでしょうか。
もちろん有料ユーザーからの収益だけでこれまで以上に成長していけるのならそれが一番なんでしょうけど。

 

参考

※1 Evernote の価格プランの改定について – Evernote日本語版ブログ
https://blog.evernote.com/jp/2016/06/29/53395

※2 なぜエバーノートが靴下を売り始めたのか:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130930/254033/

※3 Evernote Market の変更について
https://blog.evernote.com/jp/2016/02/05/51762

※4 Evernote から OneNote に移動
Windows用です。
https://www.onenote.com/import-evernote-to-onenote

※5 Introducing Evernote Plus and the new Evernote Premium
https://blog.evernote.com/blog/2015/04/29/introducing-evernote-plus-and-the-new-evernote-premium/

※6 Changes to Evernote’s Pricing Plans
https://blog.evernote.com/blog/2016/06/28/changes-to-evernotes-pricing-plans/

※7 EVERNOTE(エバーノート) プレミアムパック
6/30現在 在庫が切れたようです。
http://www.sourcenext.com/product/evernote/

※8 What’s New in Subscriptions
https://developer.apple.com/app-store/subscriptions/whats-new/

元社員らに聞く「エバーノートはなぜ深刻な状況に陥ったのか」(前編)
https://newspicks.com/news/1237596/body/

岐路に立つエバーノート。新CEOで再起できるか(後編)
https://newspicks.com/news/1239485/body/

エバーノート、黒字化へ道筋 プロ経営者の大なた
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03882410R20C16A6X16000/

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Comment

  1. 絶望先生 より:

    WindowsでWebクリップするとノートされた文字が簡体文字になるんですよね。
    そんな不具合を放置、ノートの編集機能も使いやすいとはいえないし、、、。
    今後の改善に期待できそうならプレミアユーザーになってもいいと思っていましたが、
    そのきざしもなく、、。
    個人的には価格と性能が見合わないので今回で撤退します。

    • maxi より:

      これからも変わらないことをアピールするのではなく、値上げするならもっと具体的な展望を示してほしかったですね。
      関連アプリも多いので私はもう少し付き合わなければならないでしょうけど、金額に見合わないと思ったら撤退で正解です。

  2. 名無しさん より:

    webクリップ機能が手軽なので使用しているけど、同等のサービスをGoogle様が提供してくれればそちらに乗り換えるだろう
    5年分くらいのwebページのクリップがあるけど、検索精度がダメで瞬時に見つかるわけでもなく、カスタマイズ度も低くユーザー要望を取り入れたアップデートも見受けられないし・・・

    • maxi より:

      Webクリップという使い方をしている人はとても多いでしょうね。そういう用途には高くなりすぎてしまったので、代替サービスがあればみんな流れてしまいそう。
      たしかにGoogleレベルのあいまい検索ができたりすれば私も惹かれてしまいます。
      そのあたりを改善してくれないと貯めこむだけ貯めこんでもデータの墓場になっちゃいますから、頑張ってほしいものです。

  3. 初心者木椅子 より:

    早速メールが来て、端末2台を選択させられた。windows10と同じ様な不快感。今ならプレミアム年額が半額! と言われてもねぇ。。。気に入っていたアプリでしたが、OneNoteに引越します。

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