自炊ユーザーにとって唯一無二の神アプリ bREADER

自炊とは料理のことではありません。自分で本をスキャンして電子化するということを自炊と呼びます。

数年前であればまだニーズも多かったですが、電子書籍がここまで普及した今日では自炊をする人も多くはないでしょう。
こんな記事を書いたってほとんどの人には興味ないこともわかっています。でもこのbREADERという素晴らしいアプリのことを書いておきたい。

bREADER – 青空文庫

INFOCITY, Inc.
ブック, エンターテインメント
評価: 4(220件)

iPhoneを買ってよかったと思ったアプリで歴代No.1がこれでした。
ss1

 

はじめに

このアプリは2012年の9月を最後にアップデートがされていません。

先日Appleは古いアプリや、最新のガイドラインに則っていないアプリ、ちゃんと動かないアプリをストアから削除すると発表しています。(※1)
それは9/7から開始され、警告後は30日の猶予をもってストアから削除されることになっているので、早ければあと1週間程度でそうしたアプリが消えていくことになるでしょう。
bREADERもその基準に引っかかっている可能性があると考えられ、消えてしまうのではないかと危惧しています。

無くなったら別のアプリを使えばいい、とはいかないのがこのアプリ。どれほど凄いか知っていただきたい。

 

ここがすごいよbREADER

単行本や文庫本をスキャンして取り込んだとしても、それをiPhoneで読もうとするとサイズが小さくて読めたものではありません。

▼取り込んでそのまま表示
bREADER
そのままのサイズだとだいぶ読みにくいですよね。
ズームすれば文字サイズは大きくなりますが、今度はいちいちスクロールしなくてはいけないので面倒です。

▼ズームして読むとこんな感じ
bREADER

この状態で読んでいくと、左まで読み終わったら今度は右下に移動してなんてことを繰り返す羽目になります。タップで読み進められませんしとても読書に集中できません。
さて、同じデータをbREADERで開いてみるとどうなるか。

▼bREADERでの表示例
bREADER

レイアウトがきっちりと画面に収まり、改行位置も画面サイズで最適化されているのがわかるでしょうか?これ上で提示した二段組の画像とまぎれもなく同じファイルです。
拡大縮小は自由自在に、文字を再配置してくれるんです。

▼拡大してみる
breader
文章がはみ出ることなく改行され、画面内に再配置されています。ピンチ操作するだけで自分の思い通りのサイズで読めるんですからありがたいですよね。

文字色の反転なんかもできちゃいます。

▼色反転
bREADER

まるでテキストファイルかのような自在さですが、これはテキストファイルではありません。ただの画像ファイルです。
bREADERはこのように画像ファイルから文字と文を認識してひとつひとつ並び替えてくれるという恐るべきアプリなのですよ。ルビまでちゃんと認識しています。

テキスト化をしないでもここまで読みやすくなるんです。唯一無二の革命的なアプリと言っても過言ではないでしょう。

 

現在の問題

長い間アップデートされていないことで、一部の機能が使えなくなっています。
実はこの文字のリフローという機能は完璧ではなく、ごくまれにレイアウトが崩れて読めないページがでてくるあったりもします。そういう時にはリフローを解除して元の画像に切り替えて読むわけですが、いまはリフローの解除ができなくなっています。これにはだいぶ困っています。

すべての機能が万全に使えるわけではないというのが現状です。

 

おわりに

iPhoneを始めて使ってからいままでいろんなアプリを使ってきましたが、一番感動したアプリと言えばこのbREADERであり、それはたぶん今後も揺らぐことはありません。
これが無くなってしまったら本当に痛いし、悲しい。

長く放置されたアプリではありますが、元の作りが良かったせいかiPhone7になっても画面に黒帯が入ったりすることはなく、ほとんど違和感なく使うことができるのが不幸中の幸いです。
自炊ユーザーが減り、アプリの売り上げもほとんど無いでしょう。古いアプリですからアップデートをするにしてもかなり書き直す必要があるはずで、そうしたことを考えるとアップデートは期待薄だとわかっているんです。ただ、これだけ素晴らしいアプリが消え去ってしまうのはあまりにも惜しい。なんとか復活をしてくれるといいのですが。
開発者の方はBB2CやKinoppyなどを現在でも作られていて、引退されたわけではないというのがかすかな希望ですね。

本来であればこの何倍も長いレビューを書くべき最上級のアプリではありますが、いまの状態ではあまりオススメできないのが残念で……。
神アプリって表現はよっぽどじゃないと使わないけど、これはまさに神アプリなんです。何もせず消えてゆくのが惜しいので、せめて紹介だけはさせてもらいました。
1,000円くらいの別アプリでもいいからアップデートしてくれないかな……

さいごに、
すでに購入済みのユーザーはipaファイルのバックアップを確実に行っておくことです。iPhoneに入っているから安心だなんて思わないように。
あとbrcも忘れずにね!(※2)

 

参考

※1 AppStoreの改善施策はここに載っています
App Store Improvements – Support – Apple Developer

※2 bREADERは単体でリフローできるわけではなく、事前にbrcという専用ソフトで自炊ファイルを解析しておく必要があります。自炊ファイルをドラッグ&ドロップするだけ。このソフトは必須です。
bREADER 用おまけツール brc | チラシの裏

自炊スキャナはS1500を使っていますが。もうディスコンになっているので後継のiX500がオススメです。

裁断機はPK-513。

PK-513はハンドルが畳めず収納時に邪魔なので、お金がある人はハンドルが畳んで収納できるDX200をオススメします。

20 COMMENTS

赤青

bReader,愛用しています。

電子書籍化されそうもない古い本をiPhoneで読めるようにしてくれる唯一のアプリなので,消えてしまうのは本当に惜しい。
なんとか活路を見いだして欲しいです。

たとえば,自炊する人達以外にも,横書きPDFに対応して,iPhoneで論文を読みたい人達に訴求するとか…

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maxi

競合アプリが全くない状態ですからね……本当に困ってしまいます。
使いやすいアプリですから、アップデートさえしてくれればまた売れるとは思うのですけど……

横書きPDFはまた別のいいアプリがあるんですけど、これまたアップデートが止まっていて悲しい。ニーズはあると思うんですけど、うまくいかないもんなんですかね。
つらいです。

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匿名

開発者が紀伊国屋系列のビューワーに関わってるんでしたっけ?
クライアントから競合しそうな自炊ビューワーアプリの開発自粛でも唆されたでしょう。

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maxi

開発者自身が電子書籍を買うようになって自炊をするモチベーションが無くなってしまったことの方が大きいんじゃないかと思います。
自分が便利に使いたいってのは開発を続けるために一番大事なことですし。

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名無し

本当に便利なアプリなんですが、残念ですよね…

iOS10にアップデートするとやはり問題など出てくるのでしょうか?
今の所、リフローから切り替えできず、背景色が変えられないという問題があるそうですが…

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maxi

音沙汰ないのは本当に残念ですねぇ。

致命的なのはリフローの解除ができないところですが、細かく見ていくといろいろと問題が出てくると思います。私は最低限のリフロー周りだけしか求めていないので他はチェックしていませんが、ストアでは他にも不具合の報告が上がっていますね。
それなりの金額でも支払うので復活してほしいものです……

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名無し

数年前から数多のアップデートを乗り越え使ってるので、とうとう使えなくなるか…という感じです。
ocrが利用できるアプリがほかにあればいいんですが。

ちなみに、アプリが落ちることってよくありますか?

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maxi

返事遅れてすみません。
普通に読むだけならそう落ちることはありませんね。
ただし本当に最低限の読むだけができるだけなので、アップデートは慎重にご検討ください。

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名無し

いえいえ、教えていただきどうもありがとうございました

匿名

この記事を見る前に、安易にios10にしてしまい、リフロー解除できなくなってしまいました。iosを使い続けているキラーアプリだったので、ほかのOSも検討しましたが、良さそうなアプリはありませんでした。ios9へ戻す方法を調べようかなと思っています

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maxi

あぁ…残念ですね。
いまからiOS9に戻すのは難しいと思いますが、他の方法でもなんとか元通りに使えるようになる日が来るのを願っております。
ここまで完成したアプリは他にはなかなか出てこないでしょうしねぇ。

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Mooi

初めまして。
iOS17.3.1, MacOS14.2.1 での稼働を確認しました。
絶版文庫本を自炊して読んでいるため、いまだにこのアプリは必須です。
古より伝わる、古代神様ですね。

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